ECサイトの最新セキュリティ対策 〜知らないと本当に危ない。詐欺被害・情報漏洩・不正アクセスを“今すぐ”防ぐ方法〜

■ 導入:ECサイトは「攻撃される側」にいる時代

ネットショップ運営は、商品登録や広告運用、受注処理など日々の業務で忙しくなりがちです。その中で、セキュリティ対策は“後回し”になりやすい領域のNo.1。

しかし2024〜2025年、ECサイトを狙う攻撃は確実に増えています。

  • 詐欺注文(転売目的・架空住所)
  • カード不正利用(チャージバック被害)
  • 管理画面への不正ログイン
  • 偽サイト(フィッシング)やなりすまし
  • マルウェアによる個人情報抜き取り
  • Shopifyアプリ・楽天外部ツールからの漏洩

これらは「大企業の話」ではありません。
最も狙われているのは、“対策の甘い小規模ECサイト”です。

そして恐ろしいのは、
たった1回の攻撃で、店の信用は消え、売上回復に1年以上かかることも珍しくないという事実。

本記事では、EC運営代行・デジタルマーケティングの実務経験から、2025年のECセキュリティの最新トレンドと、今日からできる改善策を“具体的に”解説します。

あわせて読みたい

■ 問題提起:ECサイトが陥りがちな「5つの危険な勘違い」

①「楽天やShopifyならセキュリティは全部守ってくれるでしょ?」

半分正解・半分誤解。
楽天やShopifyは“システム保護”は強いですが、
アカウント乗っ取りや外部ツールの脆弱性までは守れません。

②「うちは小規模だから狙われない」

むしろ狙われます。
攻撃者は“弱いサイト”を機械的に狙うため、規模は関係ありません。

③「対策するとコストが増えるだけでメリットがない」

売上にも直結します。
Googleは2024年以降、セキュリティレベルの低いサイトの検索評価を下げています。

④「AIを入れたら安全になるんじゃないの?」

AIは補助ツール。基盤が脆弱なら逆に危険。

⑤「不正注文はショップの責任じゃないはず」

カード会社からのチャージバックは“店側の損失”です。

■ 実例:2024〜2025年に実際に起きた“リアルな被害ケース”

▼ ケース1:楽天管理画面が突破され「ショップ丸乗っ取り」

原因:弱いパスワード+二段階認証なし。
攻撃者が管理画面に入り込み、偽キャンペーン掲載や顧客情報ダウンロードが行われ、一時出店停止。復旧まで3週間、売上ゼロ。

▼ ケース2:Shopifyアプリが原因で個人情報漏洩

サードパーティアプリの脆弱性から顧客データが抜き取られ、レビューに悪評がつき売上40%減少。

▼ ケース3:詐欺注文100件 → チャージバック地獄

不正検知ツールなしで発送してしまい、1ヶ月後に74万円の損害。

■ 改善策:2025年に必要な「本当に効果のあるECセキュリティ対策」

1. アカウント管理(全EC共通)

● 二段階認証(MFA)は必須

  • 楽天RMS:アプリ認証
  • Shopify:Authenticatorアプリ
  • 自社EC:Google/Microsoft Authenticator
    ※SMSは危険が多いため非推奨。

● パスワードは“最重要防御”

  • 12桁以上
  • 記号・数字・大文字混在
  • 1Password / Bitwardenで管理

2. 不正注文の防止策

2025年、最も被害が増えている領域。

● 不正注文検知ツール導入(費用:月3,000〜1万円)

  • Shopify → Signifyd / NoFraud
  • 自社EC → FraudLabs Pro
  • 楽天 → RMSの不正警告をチェック

AI型検知は70〜90%の詐欺を防ぐ

● 危険パターンの社内共有

  • 住所の番地が短すぎる
  • 電話番号が「050」「070」
  • 高額の新規注文
  • 海外IP
  • 名義だけ違う同住所

3. 顧客情報の保護

● Shopifyアプリは“審査してから導入”

  • インストール1,000以上
  • レビュー4.5以上
  • データアクセスは読み取りのみ
  • 個人開発アプリは危険

● 楽天/Yahoo! CSVの取り扱い

外部共有は漏洩リスク最大。
必要なら

  • パスワードZIP
  • 有効期限付きリンク
  • 住所や電話番号はマスク

を徹底。

4. 在庫連携・受注代行の外部委託時

● 権限付与は最小限

“読み取り専用”で十分なケースが多い。

● 契約書に必ず盛り込むべき項目

  • 個人情報の再委託禁止
  • 保存期間
  • 退職者アカウント削除
  • ログイン履歴の共有

5. AIを活用した最新対策

● AIによる不正アクセス監視

IP情報・行動パターンを自動判別し、
夜間の異常ログインも即検知

● AIチャットボットで詐欺問い合わせを遮断

詐欺師は事前に「配送状況」などを偽装して接触してくる。
AIが初期対応することで、怪しい問い合わせを早期にブロックできる。

■ チェックリスト:今すぐ見直すべき20項目

✅ アカウント管理

  • 楽天・Shopifyの二段階認証
  • パスワード管理の統一
  • 不要アカウント削除

✅ 不正注文

  • AI検知ツール導入
  • 危険パターン共有
  • 高額注文のルール整備

✅ 顧客情報

  • CSV共有ルール統一
  • 外部ツール権限の見直し
  • 不要アプリ削除

✅ サーバー/システム

  • WAF導入
  • IP制限
  • 定期バックアップ

✅ 外注管理

  • 権限最小化
  • NDA更新
  • 退職者アクセス停止

■ まとめ:セキュリティは“売上を守るための投資”

ECのセキュリティ対策は、「コスト」「手間」という印象が強いかもしれません。しかし、実際に起きている被害は、

  • 不正注文で数十万円の損失
  • 情報漏洩で顧客離れ
  • SEO順位低下
  • 業務停止
  • 出店停止措置

など、“売上に直結する重大リスク”ばかりです。

楽天・Shopify・自社EC…
どのプラットフォームでも、攻撃の入口は必ず存在します。
そのため、小規模ECほど早めの対策が必要です。

セキュリティ対策は完璧を目指す必要はありません。
しかし 60点→80点に上げるだけで、被害の9割は防げます。

アプロ総研では、ECセキュリティ診断からツール選定・運用まで幅広くサポートしています。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

あわせて読みたい

前へ

初心者EC担当が絶対知るべき!信頼されるECサイト“セキュリティチェックリスト”完全ガイド