EC広告のROASを最大化する方法|利益を生む改善戦略

EC広告の運用を任されていると、どうしても ROAS(広告費用対効果) に目がいきますよね。
「ROASが下がっているから改善しないと…」
「前月より広告効果が落ちていて上司に説明できない…」
そんな焦りを感じながら、日々Google広告、Meta広告、モール広告の管理画面を行き来している方も多いはずです。

ただ、多くのEC担当者が抱える本当の問題は、
“何をどう改善すればROASが上がるのかがわからない”
という点にあります。

広告配信の設定を変えても、入札戦略を調整しても、成果が一時的に良くなるだけで、翌月にはまた悪化してしまう。
さらに、各広告媒体ごとにレポートの指標も異なり、どれが事業の利益に最も影響しているのかが見えづらいーー。

実は、ROASが伸び悩む理由の多くは「広告運用の技術」ではなく、
EC事業全体の“利益構造”を理解できていないこと にあります。

逆に言えば、利益構造を正しく把握し、広告による新規獲得とリピート施策のバランスを整えるだけで、
ROASは大きく改善し、事業全体の利益が安定していきます。

この記事では、EC支援を専門とする 株式会社アプロ総研 が、
実際のクライアント支援で得た知見をもとに
「ROASを改善するための本質的な考え方と具体策」 を徹底解説します。

本記事を読むことで、あなたは以下を理解できます。

  • ROASの正しい意味と、改善のために見るべき本質的な指標
  • ありがちな落とし穴と、改善がうまく進まない根本原因
  • Google広告・Meta広告・モール広告など媒体別の具体的な改善ポイント
  • ROASを劇的に改善したリアルな事例
  • EC担当者が今日から実践できるチェックリスト

同じ広告費でも、利益がしっかり残る運用 に変えることが可能です。
それではまず、ROASという指標を正しく理解するところから始めましょう。

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ROASとは何か?EC広告における基本概念

EC広告を運用するうえで、まず必ず押さえておきたいのが ROAS(Return On Advertising Spend) という指標です。
ROASとは、かけた広告費に対してどれだけ売上を生み出したかを示す数字で、以下の計算式で表されます。

ROAS = 売上 ÷ 広告費 × 100(%)

たとえば広告費10万円で50万円売れた場合、ROASは500%になります。
この数字は、広告効果の“効率”を測る重要な指標であり、EC担当者が毎日のように目にする数値です。

しかし実は、ROASは「高ければ高いほど良い」という単純な指標ではありません。
その理由を理解するために、まずは似た指標である ROI との違いから整理していきます。

H3:ROASとROIの違い

ROASと混同されがちな指標に ROI(投資利益率) がありますが、両者は目的が大きく異なります。

● ROAS:売上ベースで効率を見る指標

  • 広告費に対して「いくらの売上が発生したか」を見る
  • 純利益は加味されない
  • 広告運用担当者が日々の判断に使う

● ROI:利益ベースで収益性を見る指標

  • 売上から原価、販促費、人件費などすべてのコストを差し引いた 利益 を基準に評価
  • 事業として黒字かどうかを判断するために使用
  • 事業責任者・経営層が重要視する

つまり、ROASは「広告の効率」 を見る指標で、
ROIは「事業の儲かり方」 を見る指標です。

この違いを理解せずにROASだけを追ってしまうと、
「売上は伸びたのに、利益がまったく残らない」という事態が起こり得ます。

EC担当者が陥りがちな“指標迷子”の第一歩は、ここにあります。

EC広告でROASが重視される理由

ではなぜ、EC業界ではROASがこれほど重視されるのでしょうか?
主な理由は次の3つです。

① 売上と広告費が相関しやすい業態であるため

EC事業は広告依存度が高く、広告費を増減させるだけで売上が大きく変動します。
そのため、広告費の効率を測るROASは最重要指標として扱われます。

② モール広告・SNS広告・検索広告など媒体ごとに計測しやすい

ROASは媒体管理画面で自動計算されるため、
Google広告、Meta広告、楽天RPPなど、複数媒体の比較が非常にしやすい指標です。

③ 売上を追うEC事業では「短期判断」が求められるため

ROIは中長期で見る指標ですが、EC広告は日次で判断する場面が多い。
そのため、短期判断しやすいROASがよく用いられます。

ただし、ROASを重視しすぎると以下のような問題が起こります。

  • ROASを上げるために広告露出が減る
  • 新規顧客獲得が鈍化し、翌月以降の売上が下がる
  • 表面上は良い数字だが、事業全体では赤字になる

つまり、ROASはあくまで「広告の一部を評価する指標」にすぎず、
事業の利益やLTVを踏まえて判断する必要がある のです。

多くのEC担当者がROASでつまずく原因

ROASは広告運用の代表的な指標ですが、実は ROASを追いかけるほど混乱する という矛盾を抱えています。
なぜ多くのEC担当者が改善に苦戦するのか——その根本原因を整理していきます。

ROASだけを見る「指標迷子」問題

EC担当者が最も陥りやすい落とし穴が、
ROASだけを改善しようとして迷子になる現象 です。

例えばこんなシーンがよくあります。

  • ROASが悪化したので予算を下げた
  • 入札単価を引き下げてROASを見かけ上改善した
  • 効率は上がったが売上は減少した
  • 上司から「売上が足りない」と指摘される

結果、ROASを上げても売上が落ちるという本末転倒が起き、
担当者は「何が正解かわからない」状態に陥ります。

● なぜ指標迷子が起こるのか?

理由はシンプルで、ROASは売上しか計測していない からです。
利益も既存顧客のLTVも考慮されないため、ROAS改善=事業成長にはならないケースが多いのです。

実際、アプロ総研が支援している企業でも、
ROASが高いのに利益が赤字
というケースは珍しくありません。

ROASは見るべき指標のひとつですが、
「ROASだけ」を追いかけることは、
ナビのない車を運転するようなものなのです。

広告管理画面だけでは利益が見えない理由

広告プラットフォームの管理画面は便利ですが、そこには 大きな盲点 があります。
それは、広告媒体側が把握できるのは“売上”までであり、“利益”は見えない という点です。

EC事業の利益は、以下のような複数のコストを考慮しなければ正確に把握できません。

  • 原価
  • 物流費(梱包・配送)
  • 決済手数料
  • モール手数料(楽天・Amazonなど)
  • 倉庫保管料
  • 社内の人件費
  • クーポン・ポイントなどの販促費

広告管理画面に表示される「売上」の裏には、こうした多数のコストが存在します。
つまり、広告管理画面をどれだけ見ても、本当の利益はわからない のです。

その結果、次のような誤解が生まれます。

  • ROASが良い → 利益も出ているはずだ
  • ROASが悪い → 広告を止めたほうが良いはずだ

しかし、実際には逆の場合もあります。
利益率の高い商品なら、ROASが悪くても利益が残りますし、
利益率の低い商品なら、ROASが良くても赤字の場合があります。

この構造を理解せずに管理画面のROASだけで判断すると、
誤った決断を下し、事業成長を妨げてしまうことにつながります。

EC特有の「販促コスト構造」が影響する

EC広告のROAS改善を難しくするもう一つの理由は、
EC特有の複雑な販促コスト構造 にあります。

EC事業では、次のような複数の費用が同時に影響します。

  • 広告費
  • 送料無料施策による負担増
  • モールのイベント参加費(楽天スーパーSALEなど)
  • クーポン・ポイント原資
  • 同梱物・サンプル費
  • 外部委託費(広告・LP制作など)

これらのコストが売上と連動して変動するため、
「売上が伸びるとコストも増え、利益が減る」
という逆転現象が起きることもあります。

したがって、EC事業におけるROAS改善は、
広告単体で完結する話ではありません。

広告 × CRM × 商品設計 × 営業利益構造
これらが連動することで初めてROASが安定し、事業に利益が残ります。

この本質が見えていないために、多くのEC担当者は
「広告設定をどれだけいじってもROASが改善しない」
という壁にぶつかってしまうのです。

ROAS改善のための本質的な考え方

ROASを改善しようとすると、多くのEC担当者は広告管理画面に意識を向けがちです。
しかし、本当の改善は 広告画面ではなく、事業全体の構造を整えるところから始まります。
ここでは、アプロ総研が実務で重視している “ROAS改善の本質” を整理していきます。

まず“利益構造”を可視化する

ROASを本当に改善したいなら、最初に取り組むべきは広告設定の最適化ではありません。
それよりも 「利益がどのように生まれ、どの部分で消えているのか」を可視化すること が重要です。

● 利益構造が見えないまま広告を最適化しても意味がない

広告費を下げればROASは改善して見えますが、同時に売上も落ち、利益が減る場合があります。
反対に、利益率の高い商品であれば、ROASが400%でも十分黒字なケースもあります。

そのため、次のような “利益シミュレーション表” を作ることが不可欠です。

  • 商品単価
  • 原価率
  • モール手数料 or 自社サイト手数料
  • 物流費(配送+梱包)
  • 決済手数料
  • 広告費率
  • 粗利額
  • 純利益

この利益構造を明確にすると、 「どこまでROASを下げても黒字か」
逆に 「黒字化するためにROASを何%まで上げる必要があるか」 が明確になります。

● ROASではなく“貢献利益額”で判断するべき

アプロ総研のクライアント支援では、
広告評価指標として 貢献利益額(粗利−広告費) を重視しています。

ROASを上げることは目的ではなく、
最終的な利益を最大化するための要素の一つに過ぎない という考え方です。

新規獲得とリピート施策の最適バランス

EC事業において“ROASが悪化する” 最大の理由は、
広告施策だけで売上を作ろうとする “新規依存状態” にあります。

● 新規顧客だけに頼るとROASは必ず悪化する

新規顧客の獲得には当然コストがかかり、CPAも高くなりがちです。
特に競争が激しいカテゴリでは、広告単価は毎年上昇しています。

そのため、次の状況が起こります。

  • 新規広告 → ROASが悪化しやすい
  • 既存顧客の購入 → ROASが非常に高く出る(広告費ゼロに近いため)

つまり、リピート施策が弱いECでは、ROASが永遠に改善しない のです。

● ROASを改善したいなら、リピート率を上げるべき

リピート率が高まれば、広告費に依存しない売上が増え、結果としてROASも改善します。
そのためには、次の3つが鍵になります。

  • メール・LINEなどのCRM設計
  • 購買周期に応じた定期フォロー
  • 1回目購入者へのアップセル・クロスセル

アプロ総研では、広告改善と並行してCRMの導線を最適化し、
「広告費の割に売上が伸びない状態」を根本から改善します。

ROASを無理に上げてはいけないケース

ROAS改善に取り組む際に注意してほしいのが、
「ROASが高いほど良い」という思い込みが危険である という点です。

● ROASを上げると売上が下がるケース

実務では、次のような状況はよくあります。

  • ROASを上げる → クリック単価やCPAを抑える必要がある
  • 入札を弱める → 広告露出が減る
  • 新規獲得が減る → 全体売上が落ちる

結果的に、ROASは改善したが、売上と利益は悪化した という事態になります。

● ROASが低くても“投資価値がある”ケース

特に 定期購入 / 高LTV商材 / サブスク型商材 の場合、
初回獲得のROASは低くても、長期的には高い利益を生むことがあります。

この場合、見るべき指標は LTV(顧客生涯価値) です。

例えば:

  • 初回ROAS:200%(一見すると悪い数字)
  • 3ヶ月LTV:初回の3倍
  • 6ヶ月継続率:60%

このような商品では、初回のROASが悪くても長期的な利益は大きくなります。

● ROASは“単体の数字”ではなく“事業全体の戦略”で判断する

結論として、ROASだけで判断すると事業成長を妨げます。
大切なのは、ROAS・利益・LTV・売上のバランス を見ながら、
事業として最適な広告戦略を作ることです。

EC広告(リスティング・SNS広告・DSP)別の改善ポイント

ROASを改善するには、媒体ごとの特性に合わせた“正しいアプローチ”を取ることが欠かせません。
同じEC広告でも Google 検索広告と Meta広告では改善の考え方がまったく違う ため、
ひとつの方法をすべてに適用すると、むしろ効率を下げてしまうことがあります。

ここでは主要な広告媒体ごとに、EC事業者が押さえるべき改善ポイントをまとめます。

Google広告(検索・P-MAX)の改善アプローチ

Google広告は、「顕在ニーズを取りに行く」最も安定した媒体 です。
特にECにおいては、検索広告とP-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)が主軸になります。

● 検索広告:キーワード=“顧客の意図”を理解する

検索広告は、キーワード選定が成果の80%を決めます。
EC事業者がやりがちなミスは「商品名キーワードだけを配信する」ことです。

ROAS改善のためには、次の3軸でキーワードを分けて考える必要があります。

  1. 指名(ブランド名)キーワード
     → ROASが極めて高い。防衛目的で必須。
  2. 商品カテゴリーキーワード
     → 例:「美容液 おすすめ」「キッズリュック 軽量」
     → 顕在見込みが強く、ROAS改善しやすい。
  3. 悩み系キーワード
     → 例:「乾燥肌 改善」「肩こり ひどい」
     → コンバージョン率が高く、利益貢献が大きい。

逆に、検索ボリュームが極端に小さいニッチキーワードは「ROASは良いが売上が伸びない」という落とし穴があります。

● P-MAX:ECに最も相性が良いが、設計を間違えると逆効果

P-MAXは、GoogleのAIがYouTube・ディスプレイ・検索・Discoverなど複数面を横断し、最も成果が出る組み合わせで配信してくれる仕組みです。

しかし、設定を誤ると次のような状況に陥ります。

  • 新規より既存顧客ばかりを取りに行ってしまう
  • ROASは良いのに新規が全く増えない
  • ブランドワードばかりに依存してしまう

ROAS改善のためにP-MAXを運用する際は、次を必ず行います。

  • 既存顧客リストを除外(LTVのブレを防ぐ)
  • 商品フィードを最適化(タイトル・画像・価格の整備)
  • コンバージョンアクションを最適化(初回購入を重視)

これを正しく行うだけで、新規ROASが大幅に改善するケースが非常に多いです。

Meta広告(Instagram・Facebook)の改善アプローチ

Meta広告(Instagram/Facebook)は、Googleとは真逆で
“顕在層ではなく潜在層にアプローチする媒体” です。

そのため、検索広告での成功方法をそのまま適用すると失敗します。

● Meta広告は「勝つクリエイティブ」がすべて

Meta広告の成果の8割は クリエイティブ(画像・動画) で決まります。
ターゲティングはMetaのAIが自動最適化してくれるため、広告主が注力すべきは クリエイティブの改善サイクル です。

ROAS改善につながるクリエイティブは、次のポイントを押さえています。

  • 初回1秒で目を引く構図
  • 商品を“使っているシーン”が伝わる
  • Before/After(※可能な場合)
  • 利用者のリアルな声・レビュー要素
  • 商品の強みをわかりやすく文章で補足

また、Meta広告は「商品ページの質」に強く影響されます。
LPが弱いとどれだけ広告が上手でも売れません。

● 届ける相手は“新規顧客”と割り切る

Meta広告でROASが安定しない理由のひとつに、
既存顧客が混在し、ROAS計測が歪むこと があります。

そのため、アプロ総研でも次の運用を基本としています。

  • 新規顧客獲得を目的にキャンペーン設計
  • 類似(Lookalike)よりも広めターゲティングでAIに学習させる
  • 既存顧客の再訴求は別キャンペーンで管理

これにより、ROASが安定し、LTVベースの利益管理がしやすくなります。

楽天RPP・Amazon広告など、モール広告の独自性

モール広告は、自社EC広告とまったく構造が違います。
特に楽天・Amazonは、広告と検索順位が強く連動するため、
広告は“売上拡大のための投資”という要素が強くなります。

● 楽天RPP(検索広告)でROASが読みにくい理由

楽天RPPはクリック課金(CPC)型の広告ですが、
次の理由でROASが不安定になりやすいです。

  • イベント時に競合が一斉に入札を上げる
  • クーポン・ポイント倍率で売価が変動する
  • 同じ商品でも表示順位が日々変わる

そのため、楽天のROAS改善では 広告の最適化よりも商品ページの改善 が圧倒的に重要になります。

  • 商品画像の枚数
  • 比較画像・ランキング受賞画像
  • レビュー数と★評価
  • 商品説明文(SPU対策含む)

これらを改善するだけで、ROASは2倍以上になるケースが多いです。

● Amazon広告:検索意図の一致が成果を左右する

Amazonは検索意図が非常に明確で、
Google広告に近い “顕在検索” の構造です。

ROAS改善のポイントは:

  • スポンサープロダクト:キーワードの精査が最重要
  • スポンサーブランド:新規顧客獲得に強い
  • スポンサーディスプレイ:リマーケティングに最適

さらに、Amazonの成功は カート取得率・レビュー数・在庫水準 に大きく依存します。

広告だけ改善してもROASが上がらない場合、
たいていはこの3つがボトルネックです。

EC向けDSP広告の最適化ポイント

DSP広告は、Yahoo!/Google/Metaではリーチできない層にアプローチできるため、
EC事業者にとっては 中〜大規模向けの新規獲得手段 として活用されています。

● DSPは「ターゲティング精度」で結果が大きく変わる

DSPは媒体ごとにデータ保有の強みが異なり、
次のように “どの商材に強いか” も変わります。

  • 女性向け商材に強いDSP
  • 美容・コスメ系に強いDSP
  • リターゲティングに強いDSP

そのため、DSP選定時には 「商材と相性の良い媒体かどうか」 を必ず確認する必要があります。

● クリエイティブとLP改善がセットでないとROASは伸びない

DSPは潜在層へのアプローチが中心のため、

  • 広告クリエイティブ
  • LPの訴求・構成
  • ファーストビューの魅力

これらが弱いと、クリックは稼げても購入につながりません。
DSPは広告単価が高めなため、LP改善とのセット運用が必須 です。

広告効果を高めるためのデータ分析方法

ROASを改善するには、広告媒体の操作テクニックだけでは不十分です。
最も大切なのは、「どこがボトルネックになっているのか」を正確に把握すること
ここを間違えると、改善している“つもり”でも、成果にまったくつながりません。

EC広告の成果を正しく分析するには、次の3つの視点が必須です。

ファネル分析で「どこが弱いか」を特定する

広告の成果が悪いとき、真っ先にやるべきなのが ファネル分析 です。
ファネル(漏斗)とは、顧客が購入に至るまでの流れを可視化する方法で、ECでは以下が一般的です。

  1. インプレッション(広告表示回数)
  2. クリック数(CTR)
  3. 商品ページの滞在・スクロール率
  4. カート追加率
  5. 購入率(CVR)

ファネルを分析すると、次のような “課題の所在” が一目でわかります。

  • CTRが低い → クリエイティブに問題
  • CTRは良いがCVRが低い → LP(商品ページ)に問題
  • カート追加までは良いが購入率が低い → 決済導線 or 送料・価格不安

広告運用でありがちな間違いは、
媒体設定を変えて改善しようとすること です。

しかし、実際には:

  • クリック前の問題(広告)
  • クリック後の問題(LP)
  • 決済段階の問題(UX・価格)

それぞれが“ボトルネック”になります。

ファネル分析を行うだけで、
「ターゲティングではなく、実は商品ページが弱かった」
という本質に気づけるケースが非常に多いです。

CPA・CVR・LTVの相関を見る

広告成果を正しく評価するには、
CPA(獲得単価)、CVR(購入率)、LTV(顧客生涯価値)
この3つを同時に見る必要があります。

● ROASは「短期売上」の指標でしかない

ROASは広告費に対する売上を示しますが、
利益や継続購入は反映しません。

例えば:

指標 パターンA パターンB
初回ROAS 500% 300%
CPA 高い 低い
LTV 非常に高い 低い

一見するとパターンA(ROASが高い)が良いように見えますが、
長期的な利益ではパターンBが勝つ場合もあります。

● CVRが低い=広告の問題とは限らない

多くのEC担当者が勘違いしてしまうのが、
「CVRが低い=広告のターゲットが悪い」という誤解です。

実際には:

  • 価格設定が合っていない
  • レビューが少ない
  • 商品画像が弱い
  • 送料が高い
  • 在庫切れが多い

こうした“商品力・販売力”のほうがCVRに強く影響します。

広告をいじるだけでCVRを上げようとするのは、
構造的に無理があるのです。

● LTVを知らずに広告改善はできない

特に次の商材では、LTVが広告戦略の中心になります。

  • コスメ/ヘアケア
  • サプリメント
  • 生活用品
  • 定期・サブスク商材

初回購入が“入口”であり、LTVこそが本当の利益源です。

アプロ総研の支援でも、LTV分析を導入することで、
初回ROASが300% → 長期利益は5倍以上
となった企業もあります。

変動しやすい指標を安定させるコツ

広告成果が安定しない理由の多くは、
「外部要因に強く影響される指標」を追いすぎてしまうことにあります。

特に以下は季節・競合状況・在庫などで大きく上下します。

  • CPC(クリック単価)
  • CTR(クリック率)
  • CPM(表示単価)
  • CVR(転換率)

これらは“変動して当たり前”の指標です。

● 安定させるべきは「改善サイクル」である

ROASの安定化に必要なのは、変動する指標を制御することではなく、
改善サイクルを整えること です。

具体的には:

  • 広告:週次でクリエイティブテストを実施
  • LP:月次でコンテンツ改善(ファーストビュー・レビュー掲載など)
  • CRM:リピート導線の強化(メール・LINE)
  • 商品:価格調整や在庫調整の仕組み化

広告だけ良くしても、商品やページが弱ければ成果は安定しません。
逆に、改善サイクルが整うと、外部環境が大きく変わらない限り、
ROASは徐々に安定し、改善幅も大きくなっていきます。

ROASを改善した具体事例(アプロ総研の実務から)

ROAS改善の考え方は理解しても、
「実際にどう改善されるのか?」
というイメージが掴めない担当者も多いはずです。

ここでは、アプロ総研が支援した企業の中から、
特にROAS改善効果が顕著だったケースを3つ紹介します。
いずれも実務でよく起こる課題と解決の流れを再現しています。

広告ROASが500% → 1,200%に改善したケース(アパレルEC)

● 課題

アパレルブランドA社では、月商は伸びているものの、広告ROASは平均500%前後で停滞していました。
担当者は媒体設定を毎週細かく調整していましたが、改善の兆しが見えない状況でした。

分析を行うと、以下の課題が判明しました。

  • 商品ページのレビューが少ない
  • 商品画像が“スタジオ撮りのみ”で訴求が弱い
  • 価格帯が競合よりやや高め
  • Google検索広告のキーワードが広すぎる

● 改善アプローチ

アプロ総研では、広告改善より先に 商品ページ改善 に着手しました。

  • モデル着用写真を追加し、使用シーンを明確化
  • レビュー収集施策を導入(購入後メールを最適化)
  • 商品タイトル・説明文を検索意図に合わせて書き換え
  • Google広告のキーワードを“悩み訴求”中心に再設計

● 結果

わずか3ヶ月で以下の変化が出ました。

  • ROAS:500% → 1,200%に改善
  • CVR(購入率)が1.8倍へ上昇
  • CPAが35%改善
  • リピート売上が増加し、広告依存が緩和

ポイントは、広告ではなく“商品ページがボトルネックだった”こと に気づけた点です。
広告運用だけでは改善できない典型例といえます。

P-MAX導入でCPAが40%改善したケース(美容コスメEC)

● 課題

美容コスメを扱うB社では、検索広告中心の広告運用を続けていましたが、
新規顧客の獲得単価(CPA)が上昇し続けていました。

  • 競合の増加でクリック単価(CPC)が上がる
  • 指名検索に頼りすぎていた
  • 既存顧客が広告経由で購入し、ROASが歪む

● 改善アプローチ

アプロ総研は P-MAXを新規獲得専用キャンペーンとして設計 し、次の最適化を行いました。

  • 既存顧客リストを完全除外
  • 商品フィードのタイトル・画像を整理
  • コンバージョンを「初回購入」に固定
  • クリエイティブを“使用感重視”に刷新

● 結果

実施2ヶ月で次の改善が見られました。

  • CPA:40%改善(8,000円 → 4,800円)
  • 新規獲得数が約1.5倍に増加
  • ROASは短期で上がらなかったが、LTVベースで大幅黒字
  • ブランド指名検索が増え、オーガニック流入も増加

P-MAXは「設定を間違えると失敗する」が、「正しく設計すると爆発的に効く」という典型例です。

広告依存から脱却し利益率が安定したケース(生活雑貨EC)

● 課題

C社は生活雑貨を販売しており、売上の70%以上を広告に依存していました。
ROASは高く見えるものの、利益率は低く、毎月の広告費増加が経営課題になっていました。

分析を進めると:

  • 新規獲得のCPAは高くないが、LTVが低い
  • 既存顧客のフォローが弱く、2回目購入率が低い
  • モール広告中心で、クーポン原資が利益を圧迫していた

● 改善アプローチ

アプロ総研では広告改善ではなく、CRM施策の整備 を最優先としました。

  • メール・LINEのステップ配信を設計
  • 購買周期に合わせたリピート施策を導入
  • 顧客セグメントごとに訴求を最適化
  • モール依存から自社ECへ導線を強化

● 結果

半年後、ROASだけでなく“事業全体の利益率”が改善しました。

  • 広告依存度:70% → 45%に低下
  • リピート率が1.7倍に増加
  • 広告費が減ったのに売上は維持
  • 利益率が大幅に改善

これは「ROAS改善=広告改善ではない」ことを示す典型例です。
EC事業の本質は 顧客を増やし、関係性を育て、利益を積み上げること にあります。

ROAS最大化のために今日からできるチェックリスト

広告成果が伸び悩んだとき、多くのEC担当者は「何から手をつければいいのか分からない」という状態に陥りがちです。
そこで、アプロ総研がクライアント支援の現場で実際に使用している、
“ROAS改善のための実践チェックリスト” を公開します。

これらを定期的に見直すことで、広告任せの運用から脱却し、
安定して利益が残る広告戦略に近づくことができます。

広告設定の見直し項目

広告ROASが悪化したとき、最初に確認すべきなのは“媒体設定の基礎部分”です。
ここにミスがあると、どれだけクリエイティブを改善しても成果が出ません。

● Google広告(検索・P-MAX)

  • 既存顧客が混在していないか(除外リストの設定)
  • 指名キーワードと一般キーワードを分けているか
  • 検索語句レポートから“無駄クリック”を除外しているか
  • P-MAXのコンバージョンが「初回購入」に設定されているか
  • 商品フィード(タイトル・画像・価格)が最適化されているか

● Meta広告(Instagram・Facebook)

  • 広告目的が「販売」になっているか(リンククリックではない)
  • 広告セットが細かすぎて学習が分散していないか
  • 既存顧客が混在しないよう、除外設定が適切か
  • 最低3パターン以上のクリエイティブを常時テストしているか
  • LPとの訴求が一致しているか(クリエイティブとLPの連動性)

● モール広告(楽天RPP・Amazon広告)

  • RPPの入札単価が「全自動」になっていないか
  • イベント時の入札が競合と比較して適正か
  • Amazonではスポンサープロダクトのキーワードを精査しているか
  • カート取得率/レビュー数など広告以外の要素を把握しているか

これらは“当たり前のようで意外と抜けやすい”部分です。
ROAS改善の第一歩は、基礎設定を整えることから始まります。

商品ページ改善項目(LP・商品画像・レビュー)

広告運用でよくある勘違いは、
「広告が弱い=広告設定やクリエイティブの問題」 と思い込んでしまうことです。

しかし実務では、ROASが改善しない理由の半分以上は、
“商品ページ側にある” といっても過言ではありません。

以下はEC担当者が毎月見直すべきポイントです。

● ファーストビュー(最初に見える画面)が弱くないか

  • 価格・特徴・メリットがパッと見で伝わるか
  • 他社との違い(USP)が明確か
  • スマホで縦長スクロールがスムーズか

● 商品画像

  • “使用イメージ写真”があるか
  • 商品のサイズ・素材・質感が伝わるか
  • Before/Afterや比較画像で効果が伝わるか
  • 楽天・Amazonでは画像枚数が上限まで登録されているか

● 商品説明文

  • お客様の悩みから書き出しているか(機能説明ではない)
  • 文章が冗長になっていないか
  • 送料・返品ポリシーなど不安要素を解消しているか

● レビュー施策

  • レビュー数が競合より少なくないか
  • 購入後メールの内容が最適化されているか
  • “ネガティブレビューへの対応”が適切か

広告×LP×商品力が揃って初めてROASは安定します。
商品ページができていない状態で広告を最適化しても、成果は出ません。

CRM・リピート施策の最低ライン

EC事業では、新規獲得のROASだけでは利益は安定しません。
「広告で集客 → CRMで育成 → LTVで利益化」
この流れができているかどうかが最重要です。

以下は最低限、整えておくべきCRM施策です。

● メール・LINEの基礎配信

  • 購入後のサンクスメール(世界観を重視した内容)
  • 次回購入につながるステップ配信(使い方・活用例など)
  • カゴ落ちメールの自動配信
  • レビュー依頼の最適化

● 顧客セグメント別アプローチ

  • 初回購入者向け → リピート施策
  • 複数回購入者向け → アップセル・クロスセル
  • 一定期間離脱した顧客 → 再活性化施策

● 販売サイクルの可視化

  • 商材ごとに“再購入周期”を計測
  • LTVが高い顧客層を特定し、広告配信で類似拡張

CRMが強くなると、広告成果は自然と安定します。
ROAS改善の最短ルートは、“LTVが高い顧客を増やすこと” でもあります。

まとめ|ROASは「広告運用」ではなく「事業運営」で決まる」

ROASはEC広告運用において欠かせない指標ですが、
ここまで解説してきた通り、広告設定だけで改善できるものではありません。

  • 商品ページの情報設計
  • 利益構造の可視化
  • CRMとLTVの最適化
  • 媒体ごとの広告運用方針
  • 競合状況・市場環境の変化

これらが複雑に絡み合って、初めて広告の成果が決まります。
つまり、ROASは「広告の良し悪し」ではなく、
事業全体の設計が正しいかどうかを映す鏡 のような指標です。

多くのEC担当者が、ROASに振り回され、改善に苦しむのは、
“広告画面だけ” を見て判断してしまうからです。

しかし構造を正しく理解し、利益・商品・顧客の3軸で改善を進めれば、
ROASは自然と安定し、売上と利益が継続的に積み上がります。

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ROAS改善の次に押さえるべきテーマとして、
楽天とShopify、どっちが自社に合ってる?ECサイトの選び方徹底比較!
を詳しく解説した記事もおすすめです。

最後に:ROAS改善でお困りの方へ

株式会社アプロ総研では、

  • EC広告運用
  • 商品ページ改善(LP・画像・レビュー)
  • CRM構築(メール・LINE)
  • 利益シミュレーション設計
  • Shopify・楽天・Amazonの総合運営代行

など、EC事業の成長に必要なサポートを“事業全体を俯瞰した視点”で行っています。

ROAS改善に悩んでいる、広告費が増えるばかりで成果が安定しない、
そんな課題があればお気軽にご相談ください。

無料相談フォームより、現在の課題をお聞かせいただければ、
最適な改善方針をご提案いたします。

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